去る4/24日、誇酒プロジェクトの泡盛「31/32」の商品発表会が泡盛倉庫で行われました。
私たち誇酒プロジェクトは、廃業してしまった宮古島の「千代泉酒造所」で眠っていた泡盛の原酒を引き取り、商品化を進めています。
千代泉酒造所の原酒と他酒造所の泡盛をブレンドした「追悼シリーズ」と、原酒100%をボトルに詰めた「31/32」。
もう飲んでくださった方もいらっしゃるでしょうか?
今回は、商品発表会に来てくださった方に、泡盛に対する思いを聞かせていただきました。
ひとり目は、伊勢丹のバイヤーをされていた野口正幸(のぐちまさゆき)さんです。野口さんは今から25年前に伊勢丹新宿店で行われた物産展「大沖縄店」の初代全体企画担当者。泡盛との出会いはその頃だったと言います。大沖縄店をきっかけに沖縄に興味を持ち始め、その後仕事とプライベートで何度も沖縄を訪れるように。そして3年前に沖縄に移住されました。
野口さんはお酒の中でも日本酒が好きだそうですが、沖縄料理店で食事をする時や、長くお酒を飲みたい時には泡盛を飲むことが多いそうです。
「泡盛は焼酎に分類されていますが、芋焼酎でも麦焼酎でもなく、『泡盛じゃないと合わないよね!』という料理があるんです。例えば豆腐ようとか、ラフテーとか。フードペアリングは大事ですね。」と野口さんは話します。
「日本酒は日本国内だけでなく海外でも飲まれているのに、泡盛は残念ながらあまり流通していません。その理由のひとつは、泡盛倉庫の比嘉さんのような“伝え人”が不足していることだと思っています。泡盛の魅力や飲み方、料理の食べ合わせをお客さんにアドバイスできる泡盛アドバイザー的な人がもっと増えれば、泡盛は日本国内だけでなく海外でも注目されるようになると思っています。」
ふたり目は、版画家の蟹江杏(かにえあんず)さん。
「普段飲むのはワインなんですけど、お酒は全般的に好きです。お酒の力も手伝って、想像力・創造力が広がることもあるので、私たちアーティストにとってお酒は、時に創造への誘いになるんです。」
泡盛は東京の沖縄料理屋さんで飲んだことがあるそうで、その時の第一印象は「焼酎より甘くておいしい」だったそうです。
そして今回初めて「31/32」をテイスティングしたそうです。「廃業して終わってしまうはずだった泡盛が、今こうやって復活してまた味わえる。なんだかロマンを感じるお酒ですね。」と蟹江さん。
泡盛倉庫では、謝花きっぱんの冬瓜漬けを添えて提供されますが「自宅ではどんなおつまみを合わせて味わいたいですか?」と訊ねたところ「冬瓜漬けがとても合うと思ったので、ドライフルーツは合いそうですよね。それと…意外とブルーチーズとか?今度試してみたいと思います」と答えてくださいました。
美しいボトルも気に入ってくださったようで、この後すぐ、お世話になった方たちや自分用にたくさん購入してくださいました。
泡盛離れが進んでいる沖縄ですが、泡盛は“沖縄が世界に誇れるお酒”です。今一度、泡盛の価値や歴史、おいしさを見つめ直してみませんか?
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文・プロフィール
舘 幸子 / Sachiko Tachi
父が転勤族だったせいか「出身は?」と訊かれるとどう答えてよいのか、いつも迷っていました。生まれは静岡ですが東京と京都暮らしが長く、2013年春に沖縄に移住しました。
以前はフードコーディネーターとしてカフェやお菓子メーカーのメニュー開発に携わっていました。それでも、書くことが好きだったことがきっかけで数年前からライターのお仕事を本格的に始めました・
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<商品のご紹介>
31/32 Chiyoizumi distillery 1948-2018- No.31
ひっそりと蔵の中で眠っていた千代泉酒造所 泡盛。宮古島や千代泉酒造所、泡盛の歴史や文化に触れていただければと思います。ちぶぐぁ(おちょこ)にて少しづつ、味と香りを楽しみ、泡盛の歴史や千代泉酒造所の想いを感じながらご堪能ください。
・原材料/米こうじ(タイ産米)
・アルコール分/43度
・内容量/500㎖
・熟成年数/帳簿不明のため年数表記ナシ
・蒸溜機/横型蒸留機
・濾過/千代泉酒造所での保管状況から濾過ナシ
・製造元/沖縄酒造協同組合
・販売元/泡盛倉庫
・12,960円(税込)